ハロウィンが終わってすぐに街はクリスマス一色になり、子どもたちはサンタクロースのプレゼントを指折り楽しみにします。
かつて昭和のまっただ中では、クリスマスには「ジングルベル」が流れ、赤い三角帽を被った酔っ払いのおじさんたちが闊歩するというシーンが定番でした。そのシーンを大きく変えたのが松任谷由実さんの「恋人がサンタクロース」と山下達郎さんの「クリスマス・イブ」の二曲でしょう。いずれも 1980年代前半(昭和55年~)に一斉を風靡しました。
ユーミンの曲は「サンタは絵本だけのお話」という女の子に対して、おしゃれなお姉さんが「大人になればあなたもわかる」とウィンクします。大人には恋人と過ごすロマンティックなクリスマスがあるのだと教えます。
達郎さんの曲はクリスマスに恋人と会えない切なさを歌っていますが、その曲が使われた JRのCMでは、会えないかもしれないとヤキモキさせながらも最後に二人は会えるという駅の待ち合わせシーンが観ている私たちの心をくすぐりました。この二曲が、若者はクリスマスには好きな人と二人で過ごすという文化を、おおいに後押ししました。
その後バブル全盛期になると、今はなき赤坂プリンスホテルのディナー付き宿泊予約が一年前から埋まり、銀座のティファニーのショーウインドー前が男女、男女、男女で立錐の余地もなくなる… という現象が繰り広げられるようになりました。
クリスマスが過ぎると、質屋さん(今でいうフリマみたいなもの)で大量のティファニー・オープンハートが換金されたとか。当時、既に 30 代になっていた私は「こんな時代に独身 20 代でなくて本当によかった」と思ったものです。
さて時は進んで令和となった 2023 年、LINE リサーチによる「クリスマスは誰とどのように過ごしますか」というアンケートでは、10代、20代、30代のいずれも第一位は「自宅でいつもどおり過ごす」で各年代 30%台~40%台でした。「素敵なレストランで食事する」は 20代でもたった 9.4%とのこと。「プレゼントを渡す相手」が「恋人、パートナー」という人も 20 代で 25.3%でした。え、ということは、今の20代の75%は恋人やパートナーにプレゼント渡さないの? 90%は素敵なレストランにも行かないの?う~ん、あのティファニー狂乱の頃とは隔世の感あり…です。
園長 永井 洋一