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令和の梅雨に学ぶ(ゆきわり草7月号)

令和元年6月28日(金) 園長 尾﨑 春人


不安定な天候が続く今年のつゆ(梅雨)ですが、園では田植えも済み、傍(かたわら)ではキュウリの収穫ができました。間もなく七夕には、県下大磯町からヒントを得た、子どもに担がれ海に流される"動く竹笹みこし"が飾られ、附近の住宅地や港北小学校前を練り歩きます。成人に達する前に、自分の考えや祈り、生きる目標や計画などを詰め込む袋は丈夫で大きいものを用意したいものです。祭りや伝統行事、神仏詣(もうで)やスポーツや武芸などに親しむ活動は極めて有効な方法として、銀嶺幼稚園からのおすすめです。

丈夫で大きな袋を用意すると同時に、充実した中味を自分で創れる若者に成長することを可能とする幼児期の教育、それは正に幼稚園児の年代が最適だとモンテッソーリ教育法では考え実証しています。(同法では0才から段階的に構成されています。)

一人一人の子どもが、一番初めにやりたいことは何でしょう。それは「自分ひとりで、自分のやりたいことができるようになりたい」という欲求だとモンテッソーリは多数の子どもの育ちを観察した結果を私達に伝えています。その反対に、その欲求を満たしてもやらないで、一方的に「この子は未だ幼いのだから自分でできないのは当たり前」と決めつけて手助けしたり、叱ったりして幼児期を過ごした子どもを、不登校やひきこもりになってから、「いつまで親を頼りにしているの」とか「何故自分から勉強する気を起こさないの」などと説教しても、その子らには通じません。

全ての子どもが共通して待ち望んでいることは、子どもが自分ひとりでやりたいことに行き詰まったり、失敗した時に、口ではなく、手助けしてくれるか、失敗の原因をわかる様に説明してくれることです。それ以外の時間は黙って見ていてほしいようです。失敗した時に、笑ったり叱ったりは絶対に許されません。

雑巾を使う園児

各教室の掃除道具

もう一つの重要なことは、子どもが生活する身辺の整理清浄です。清潔は子どもが生来最も好む環境だからです。そのために、モンテッソーリ教具として掃除道具が用意され、清潔の習慣が身に付くよう指導されます。これは家庭生活や園外活動でも実践されないと意味が失われるのは申すまでもありません。

モンテッソーリは、子どもの秩序の感覚の大切さを[幼児の秘密]という本の中で説いています。子どもは「特色のある整頓好きの傾向をもち」一才半を過ぎた頃から幼稚園入園頃までに、すでに身辺の秩序への欲求が現れ乱雑な中の生活を苦痛に感じると報告しています。

余談になりますが、同じイタリアの幼児教育者のアガッツィはモンテッソーリ教育の整然性には批判的でした。「子どもにとっての環境は、整然とした環境より未経験の活動ができ、自由に使える廃材などの山が好まれる傾向からガラクタ博物館を創りました。また、1970年前後にアメリカでのモンテッソーリ教育支持者の一人であったハントは、「教育環境は日々(子どもが興味を引く程度)に変化を設けた方がよい」と著書「乳幼児の知的発達と教育」の中で説明しています。ハントの説は幼稚園で教育環境作りや、カリキュラム編成の折に課題としてよく登場します。

間もなくやってくる道志村での2泊3日のサマーキャンプに向け、親子の間、夫婦間の信頼感の重要性に改めて触れておきます。それは重い荷物を親が運んでやることではなく、お父さんお母さんが仲良く会話を交わし、どんな小さなことでも口にしたことは実行し、約束を守ることのようです。


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