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ゆきわり草12月号

2021.12 園長 永井 洋一


12 月の英語名 December の「dec」は「10」を意味する言葉に使われる接頭語です。Decathlon(デカスロン=十種競技)、decade(10年)、deciliter(デシリットル)、decagon(十角形)なども接頭語decが「10」を意味づけている単語です。12月なのになぜ十番目の月という意味なのでしょうか。古代ローマでは一年を現在の3月から始まる10か月間と考えていたからです。確かに3月から1,2,3...と順に進んでいくと、12月のところが10番目の月Decemberとなりますね。ちなみに3月から数えて8番目になる10月はOctoberですが、その接頭語octは「8」を意味づけています。タコがoctopusなのは足が8本だからです。

では当時1月、2月はどうしていたのか、といいますと、寒さの厳しい冬は人々の活動が停滞するので暦すらも設定しなかったとのことです。しかし、暦のない期間があるのは不便だからと、紀元前715年~673年に在位した皇帝ヌマ・ポンビリウスが1月、2月を加えて12か月が完成しました。ようやく12か月が揃った後、約600年が経過したアウグストゥス帝の治世(紀元前63年~紀元14年)にイエス・キリストは誕生します。それからさらに約300年たった紀元325年ころになってようやく、現在のクリスマスにつながる概念の原型がつくられたとされています。12月がもともと暦にあったわけではなく、12ヶ月が全て揃ってからさらに約900年もしなければクリスマスという概念が誕生しないということを知ると、何か不思議な気分になりますね。

さてこれから1000年後の世界で、暦は人々にどのように使われているのでしょうか。そして、そこにはまだクリスマスという概念が残っているのでしょうか。12月末にクリスマスを盛大に楽しみ、それからたった5日間ほどたてば一斉に神道信者あるいは仏教徒となって神式、仏式のお参りをするという奇妙な国民がいたことは1000年後も記録されているかもしれません。


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