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ゆきわり草5月号

2022.5 園長 永井 洋一


高校生の時に観た「小さな恋のメロディ」というイギリス映画は11歳の小学生の幼く微笑ましい恋の物語でした。厳格な私立学校で大人に抑圧されながら生きている二人は、結婚を誓いあいます。大人は突飛もないことと取り合わず、クラスメイトも二人を笑い物にしますが、やがて二人の熱意にほだされてクラス全員が授業を抜け出し、線路脇の廃墟で結婚式を挙げます。怒った大人たちが連れ戻しに来るのですが、子どもたちがそれぞれの得意分野を活かして大人たちを出し抜く間に、二人はシーソーのようにトロッコを漕いで走り去るというラストシーンでした。

この映画の挿入歌に「First of May(邦題:若葉のころ)」という曲があります。英詩ですが私なりに意訳すると 僕らがまだ小さくクリスマスツリーが大きかった頃、みんなは遊んでいるのに僕らは愛し合ったね。あれから時間が経ち、僕らはクリスマスツリーより大きくなってあの頃の話もしなくなった。でも、あの頃の僕らとあの時の愛は決して消えることはない。5月がきたら、あの頃を思い出して泣いてしまうかもしれない 。さて、若葉の5月を迎えて、私たちは今の年中さんが泣いていた去年の今頃を思い出します。その前の年は、今の年長さんが泣いていました。その前の その前の ずっと続く涙の記憶。泣いていた子どもたちはみな成長して幼稚園を巣立ち、いつかクリスマスツリーよりも大きくなります。その繰り返しの中で、子どもたちが成長した姿に今度は私たちが泣いてしまうかもしれません。


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